蔀戸のパレット / “palette” with flap shutters, 富永大毅建築都市計画事務所 富永大毅建築都市計画事務所 商業空間 木 木目調 オフィススペース&店
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同じ建物の2-3Fを占拠する印刷会社のためにつくられた、約50㎡の道路に面した会議室兼憩いの場である。ずっと空き室だったスペースの活用として、な
るべく安く改修することが求められた。家賃が負担になることも考えられたので、将来的に土日は半公共的なイベントスペースに成りうるような可変性を付加す ることとなり、寺院建築から蔀戸(しとみど)という建具方式が引用された。

原状回復の不動産ルールの中では、インテリアは負の資産である。ところが空家が増えて、気軽にリノベーションして使える場所を設えようとするこの時代にお いて、僕らには何十年もの耐久性を前提とした住宅業界のための建材しか選択肢がない。使用想定期間が短ければその分予算も出にくいし、原状回復費用が負担 になりやすいが、その中でどうやったら選択が偽物のシートに流れないで、本物の手ざわりや木の匂いを残せるか。このチャレンジとして、出版印刷会社のひし めく文京区水道に馴染みの深い運送用のパレットを、建築部位と材料の中間と捉えて使うことにした。トラックで運ばれてきたザラザラのパレットを、床、壁、 天井それぞれの部位についてどのくらいのザラつきなら成立するか実際に手ざわりを確認しつつ決めている。

使用された約130枚のパレットは1200円の在庫品と床用(3200円)、壁用(1650円)に特注で制作されたものの3種類でできている。パレットと いう冗長性の高い素材の使用により、プロフェッショナルな大工工事を極力省けることも、工事費を抑えることに繋がっている。

結果として建築費だけで言うと坪20万円、家具や備品を含めても坪26万円で完成した。ビスで留めているだけなので、原状回復時には中古パレットに戻すこ とも可能であり、負の資産を減らすことが可能である。同様の理由で床と壁の取り合いには砕石を用いて、配管を隠している。

素材: 木
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4.5

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