クライアントである島田さんが子供のころ生活していた家は、使われることなく倉庫のような状態でした。今回、住宅を新築したいということで、土地探しの段階から相談を受けていましたが、お話しを重ねていくうちに、思い出の詰まった既存住宅をリノベーションすることになりました。新築をご希望されていた島田さんにとっては、リノベーション工事という耳慣れない手法を提案されて、戸惑いや不安もあったのではないかと思います。正直、設計は新築工事よりも手間のかかる作業なうえ、工事を進めながら考えなければならないことが多くあって大変なのですが、結果、同スペックの新築よりも2~3割工事費を抑えられたと思います。リノベーション工事は制約もありますが、アイデア次第でその制約を逆手に取って魅力に変え、より空間に親しみと多様な表情を持たせることができます。今回はレアなケースだと思いますが、住宅の新築をお考えの方もリノベーションという手法を選択肢のひとつとして考えていただけるようになればと思います。