ものに時間が作用すると、かたちは壊れていく方向に、表面は質感を増す方向に、変化していく。
そうやって、無秩序性を増していくことは、ものの温かみや物語を感じさせてくれるけれど、それが行き過ぎると、「怖い」と感じられるようにもなる。
そこで、白く塗りこめてみる。
そうすると、かたちは少し崩れていても、表面はつるつるとなって、素材感をある程度消し去ることができる。
何度も何度も塗っているうちに、かたちも輪郭がやわらいで、丸みをおびてくる。
そんなものたちから、わたしたちは「守られている」という感覚を得られるだろう。