この家には愛犬のためのドッグランがあります。敷地は雛壇状に区画された北西の角地で、一般的に陽あたりを考えると難しいとされている条件での計画です。ただ、北東に視界が抜けるロケーションは素晴らしく、ドッグランのスペースの配置と共に、住空間の外部への開き方を特徴化しています。それに、南の陽光も決してあきらめたわけではなく、隣家との距離や視線を回避しながらも、住まいの中心となる家族室には、空間造形と併せて魅力ある日常の演出を試みています。また、高低差のある道路からつながるゲートガレージをはじめ、敷地の環境を読み解いて、すべてはドックランを駆け巡る愛犬と、その家族の戯れる情景を思い浮かべながら、生み出された住まいです。