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六角形のリビング: 河原泰建築研究室が手掛けた折衷的なです。,オリジナル
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六角形のリビング: 河原泰建築研究室が手掛けた折衷的なです。,オリジナル

施主は60歳台の姉弟。これまでは別々に暮らしていたが、この家の建設を機に、2人の協同生活が始まることとなる。普段から仲の良い姉弟だが、生活スタイルはそれぞれ異なる。設計にあたってもそれぞれの部屋をワンルームマンションのように構成することが条件であった。しかし、これからのことを考えるとお互いの助け合いと思いやりが必要となる。そこで2人の部屋をロビーでつなぐホテルのような家を提案した。ロビーが気持ち良い空間であればそれぞれ自分の部屋を出て、自然に集うようになると考えたのである。

六角形の理由(わけ)

ロビーの形は六角形である。これは敷地の建ぺい率が50%であったことからできた形。高齢に近づいていくことを考えると主な生活はできるだけ1フロアーでバリアフリーにすることが望ましい。しかしウォークインクローゼットやトイレを備える2人の部屋と大きな浴室、キッチン、客間と、それぞれの必要スペースをあてはめてみたら残されたスペースはごくわずかであった。一時は施主(弟)から「自分の部屋を2階に」という提案をもちかけられた。しかし、設計者としては今後の生活を考えると、なんとか1階で生活ができるようにしたかった。そこで、それぞれの空間が豊かになるように、考えたのが斜めの壁である。ロビーの床部分は幅2.7m。対面してテレビとソファを置くとやや狭い。そこで隣接する各部屋の便所の上部空間(ちょうど便器の上になる部分)を削り、ロビーの空間を増やすことにした。こうしてロビーの上部は幅5.2mを確保。床部分は狭くても広がりのある豊かな空間となった。同様に玄関部も斜めの壁とし、建築面積にあらわれない広さを実現。上になるほど広がる空間はロフトに上がる螺旋階段も無駄なく収めることができた。

今後の2人のゆったりとした生活スタイルを考えると、ロビー上部は包まれた落ち着きのある形がいい。という理由で、下部とは逆に傾けて六角形のロビー空間が誕生したのである。すっぽりと包まれる感覚は子宮の中の感覚に近い。また不思議と多人数が集まっても狭さを感じないし、なにより滅多にあじわえないこの空間は人を呼びこみ、家に賑わいをもたらす。掃除もしやすいし、家具などの余計なでっぱりも出ない。この六角形はこれから後半生のスタートとなる施主姉弟にふさわしい形であったといえるであろう。

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