雪深い農村に建つ住宅である。既存母屋に2世帯で暮らしていたが、母屋の耐震性能や断熱性能が不足していることから、3人家族の若い世帯は自分たちの家を建てようと思いたった。しかし予算は、通常日本で住宅を建設するために最低限必要な費用の半分しかなかった。そこで改修したばかりの母屋の風呂やキッチンは引き続き使用することとして、母屋に連結する形で、3つの部屋(リビングと畳部屋(寝室)と子ども部屋)を増築することとした。3つの部屋は庭を囲むように30°傾きながらつながっている。これにより、各部屋は母屋や隣家から遮られることなく陽を浴びることができる。費用を抑えるため、廊下をなくしたプランとし、30°傾けたことによって生まれた3つの部屋のコネクション部には最低限のキッチンとトイレを設けている。3つの部屋はそれぞれのキャラクターの違いからそれぞれ異なる屋根を設けている。明るい場所としたいリビングは大きなトップライトを設け、雪に埋もれないように急勾配の三角屋根としている。落ち着いた空間としたい畳の部屋は屋根を低くおさえるスクエアでフラットな屋根としている。夢のある空間としたい子ども部屋は丸窓の空いた丸い屋根である。
屋根と外壁は、日本でもっとも安く手に入る材料であるアスファルトシングルを各部屋のキャラクターに応じてパターンを変えて貼っている。