この地域の最低限度である敷地面積60㎡、前面道路4mという条件で、適度なプライバシーを担保しながら明るく、コンパクトながら広々として開放的な住環境が求められました。
隣家が近いことから、階段やインナーバルコニー、テラスを介して、ワンクッション置いた光が3層に回る構成としています。
階段は、豊かな生活のシーンを描き出すきっかけとなるよう、居住スペースと関わりを持たせ、上下階の移動を、その他の行動と連続した、気持ちの途切れない体験とすることを大切にしています。
インナーバルコニーは主要な軸線から45°振って設置し、4mの前面道路を挟んで対面する建築物との間に距離を置くこと、室内の延長として小さな部屋のように使えることを意図しています。
高度斜線によって北側が削り取られたファサードに、跳ね出しのバルコニーが取り付く外観が、この地域の3階建ての典型ですが、規制をそのまま受動して外観に反映するのではなく、斜線とバルコニーを積極的に建築ボリューム構成の手がかりとしました。