アオバの家, シキナミカズヤ建築研究所 シキナミカズヤ建築研究所 モダンデザインの リビング
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敷地は、比較的新しい住宅街、いわゆるベッドタウンと呼ばれる場所にある。前面道路から10mほど敷地内通路を介し、4方向全てを隣家の壁で囲まれた旗竿敷地である。周囲の住宅は、誰が決めたかわからないルールに支配され、窓は同じ方向を向き、庭は同じ場所に取られて並んでいる。しかし、少し角度を変えて観察すると、東南に正対するこの敷地には、隣地の建物と庭の隙間から、朝や昼、夕方にそれぞれ異なる方向から光が差し込んでいた。つまり、旗竿敷地においては、周囲と並列させずに隣地の隙間から距離をとることが「居心地の良さ」を生む重要なポイントになると気がついた。

そこで、東西南北に向いた四角いボリュームを隣地の隙間から距離をとって配置し、残りは敷地の形状に沿ったボリュームと重ね合わせた。敷地を訪れた時に感じた光の入り方と同様、内部でも2つのボリュームに少しだけ距離をとり、隙間を設けた。その結果生まれたのが、三角形の庭2つと、スリット状に差し込む光。外部においては、周囲の住宅に圧迫感を与えないようにし、隣家の隙間から光を取り込む。その結果、2つのボリュームの隙間から家中に光を落とすのである。 一方、内部空間では角度を振った外観の構成とは別のロジックでプランニングを行った。それは、これから変化していく、家族と暮らしに対応できる住まいにするためである。玄関ーリビングー寝室 という距離の序列は、家の中にある公私を決める大切な要素である。特に、家の中でもっとも大きい場所となるリビングとそこにつながる庭は、奥行きを持つ空間をつくりだす最も重要な関係となる。2階の個室空間は角度を振った壁によって大きさと開放度の異なるスペースをそれぞれ計画し、暮らしの用途と変化に合わせて使い分けられるようにした。最後は夫婦2人の空間として大きなワンルームに戻すことも可能なように、内壁は構造と切り離した壁(パーテーション)になっている。 隙間から生まれた光と庭、そして庭とつながるリビング、変化する個室、光と空気と視線の抜け、肌に触れる素材感。全ての操作は、「居心地の良さ」に着地する。これは、時代に左右されない普遍性を持つ身体的な感覚である。

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