バリアフリーをさらにカスタマイズした平屋住宅

Michiko JUTO Michiko JUTO
コノジノイエ, 岩田建築アトリエ 岩田建築アトリエ モダンな 家
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私たちの生活は様々な分野において規制や基準の上に成り立っています。それらに従うことが一般的な認識としてあるのですが、時として個々の基準に垂らし合わせて見直すことも必要かもしれません。今回紹介する住宅のクライアントは車椅子の利用者です。一般的なバリアフリー基準を踏まえた上で、さらに住まい手に対応したバリアフリーを取り入れた平屋の住宅は設計担当の建築家・岩田氏にとっても初の試みでした。

バリアフリー用のスロープをさりげなく設ける

周囲は主に2階建ての住宅が建ち並んでいますが比較的密度の低く、のんびりとした田園風景も広がるエリア。前面道路に面して大きく駐車スペースを設け、セットバックして配置した平屋が瀟洒な佇まいを見せています。すっきりと陸屋根でまとめた形態に異なる素材を組み合わせることで表情のある外観になりました。車椅子用の玄関アプローチとして向って左手にスロープを設けています。途中ルーバーのある通路を抜け、アーチ形の一般エントランスへと続きます。

グラフィック的な要素をもった外観

直線と曲線を控えめな色調とシンプルな形態で構成したグラフィック的な要素を含んだ外観が印象的ですね。開口部のないどちらかというと閉鎖的な外観からはわかならいと思いますが、この平屋住宅はコの字型プランを採用しており、中に広々としたデッキスペースを設けているんです。

ダイナミックな空間の作り方

室内です。正面ファサードは陸屋根に見えますが、実は内側に向って勾配のある屋根を取り入れ、室内にも表れています。それと相まって壁の角を曲線に仕上げたり 空間に伸縮性を持たせることでダイナミックで多様な空間を構成しています。車椅子利用のクライアントのために廊下の幅を広く確保し段差も抑えた設計に加えて、腰掛けやルーバーなど視界の変化を生む装置を随所に取り入れています。

曲線がもたらす効果

空間に曲線を取り入れると、思ってもみない心理作用を生み出します。その形態の通り、 身体同様有機的で柔らかな印象をもたらし、胎内にいるような安心感さえ感じさせます。このようなカーブのある室内なら車椅子での移動もきっと楽なのではないでしょうか。

スパイスとなるようなエレメント

天井の勾配を生かしてハイサイドライトを設け、採光と換気を確保した室内はナチュラルな雰囲気いっぱいの木を使った造作家具やフローリングでまとめています。アーチ形の赤い扉や三角形の棚受けなど幾何学的な要素を取り入れた明るく遊び心のあるインテリアが素敵ですね。

和室のアイデア

今度は和室を見てみましょう。天井の曲線と傾斜がとてもユニークな印象を与えます。床の間にアーチ形を取り入れ、 縁なしの畳とともに あか抜けた和室空間を演出していますね。

ポップな水廻り空間

ポップな雰囲気の水廻り空間はレモン色の壁が気持ちまで明るくしてくれそうです。ニッチを生かして設けた三角屋根のおうちの形をした棚、車椅子利用者でも使えるシンプルでお洒落な洗面台。一般的な身障者用のサニタリーは味気ないものが多いのですが、こんなオリジナルな水廻りも可能なんですね。 あるだけでオブジェのように楽しい上部のポールはなんでしょう?ひょっとして洗濯物干しコーナー?住み手のライフスタイルに添ってカスタマイズする家づくりは建築家にも新たな思考のチャンスを与えてくれるので、是非協同作業で計画したいですね。

のびのびとしたバリアフリー住宅

コの字に配置された各居室は広々とした中庭空間を介して繋がります。こんな開放的なデッキスペースなら車椅子でも楽々利用できそうですね。プライベートな外空間を持ち、曲線を取り入れたりカスタマイズされた楽しい水廻り空間などで構成されるこの住宅はバリアフリー住宅の既成概念を覆すくらいのびのびとした印象を私たちにもたらしてくれます。

【平屋については、こちらの記事でも紹介しています】

※ 平屋の魅力まとめ6選 

※ 平屋と2階建て、どちらを選ぶ?  

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