ありそうでなかった開放的な終の棲家

Michiko JUTO Michiko JUTO
学園前の住宅/Gakuenmae house, 黒川智之建築設計事務所 黒川智之建築設計事務所 木造住宅 木 木目調
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黒川智之建築設計事務所の手がけた老後を迎える夫婦のための住宅を紹介します。人生の最終章を有意義に送るための理想の終の棲家って人それぞれですよね。身体的にも若い頃とは違って無理の利かない場合も当然あるのでバリアフリーを選択する人も多いのですが、この住宅は階段もあり、心身ともに健康的に日常生活が送れそうな自然素材をたくさん取り入れた終の棲家です。そして夫婦だけの住まいとして開放的な間取りを採用しています。さっそくくわしく見ていきましょう。

大屋根に設けたバルコニー

庭に面して大きな屋根に設けたバルコニーが印象的な外観です。 1階にはよく手入れのされた植樹が眺められる大きな開口を設けています。建築家曰く気持ちの良い風が南北に通り抜けるのでほとんど空調いらずの住宅なんだそうです。特に歳を重ねると環境変化に敏感になるので可能であれば自然体で暮らしたいですよね。

縁側のようなテラスの効果

庇で太陽光を制御することで夏は涼しい日陰が生まれ、冬場は光が室内の奥まで届きます。ナチュラルな木目の木素材で構成される縁側的な空間で日向ぼっこするのも気持ち良さそうですね。奥行きを持たせた設計のおかげで大きな開口にもかかわらず視線が気になりません。

庇がひと際目立つ正面ファサード

こちらは道路側のファサードです。さりげなく設けた駐車スペースと並列した玄関ポーチが大きな庇と板張りの外壁でまとめられ、シンプルながらもひと際目を惹きます。外壁と面で仕上げた窓がクールな佇まいを見せナチュラルなテイストとうまく調和しています。

木板張りの軒先と外壁で構成される玄関ポーチ

ダイナミックな庇がおおらかに迎えてくれそうな玄関ポーチです。玄関ドアは外壁及び軒裏と同様の素材で統一し、あか抜けた雰囲気を醸し出しています。玄関廻りは お年寄りにも優しい低めの蹴上げで設定すると高級感のあるゆったりとした印象をもたらしてくれます。

吹抜けのある玄関ホール

吹抜けになった開放的な玄関ホールです。白塗りの壁に親しみのあるナチュラルな木の素材がシンプルで気持ちの良い空間を演出しています。個々の居室が連続するような設計なので風が抜けて広がりのある快適な住環境が生まれました。

光と影が生まれる家

玄関ホールから主要生活空間、そして庭へと続きます。2部分の開口が切り取る空の風景がまるで絵のようですね。刻々と変化する日の光を室内に届けてくれ、その光によってしっとりとした陰影を生まれます。屈折した通路が単調になりがちな動線と視線に変化をもたらしてくれます。引き戸を閉じれば独立した空間にもなるフレキシブルなデザインは日々の生活における様々なシーンに対応してくれるので是非参考にしてみてください。

屈折した壁がもたらす空間への効果

緩やかにつながる玄関ホール、リビング、そしてダイニングエリア。 ずれた軸、屈折した壁など様々な効果を生み出すデザインは建築家の腕の見せどころと言えるのでは? 終の棲家にも忘れずに遊び心を取り入れたいものですね。同時に室内に生まれる美しい陰影がゆったりとした夫婦だけの生活にそっと寄り添って穏やかに見守ってくれるような印象を受けますが、なかなか光と影の演出というのは難しいので是非建築家のアドバイスを受けることをお薦めします。

食卓の風景

全体に造作家具をふんだんに設けたすっきりとした住宅ですが、ごちゃごちゃになりがちなダイニングエリアにも是非このように設けたいですね。勾配のある天井には木の素材を採用し、暖かみのある北欧風のダイニングを演出しています。明るめの木でまとめた空間には濃いめの家具が引き立ちます。調度良い高さに設置した窓に切り取られた庭の樹木と共に気持ちの良い食卓の風景が生まれました。

立体的な広がりを持つ室内

リビング奥に見えた階段の脇には壁付けのキッチンを配置しています。窓に面した気持ちの良いキッチンはシンプルかつ機能的で、ダイニングに続く動線もばっちりですね。吹抜けのあるキッチンンは珍しいですが、思った以上に開放的でキッチンに立つことの多い人やお料理好きには嬉しい空間ではないでしょうか?

籠った空間の有効性

スキップフロア的に階段の踊り場と同レベルに設けられたこじんまりとした和室空間が新鮮な印象を与えてくれます。家全体が連続する開放的な間取りも魅力的ですがこういった籠った空間も取り入れるとメリハリが生まれ、また用途も多々考えられるので一部屋あると便利です。書斎や客室、お茶のお稽古など住まい手のライフスタイルに合わせて色々な場面に使えそうですね。

のびやかに暮らせる終の棲家

屋根のイレギュラーな形態をそのまま反映した天井が変化に富んだ空間を構成し、同時に家全体をひとつにまとめる役割を果たしています。夫婦二人だけなのでプライバシーを気にせず、オープンな間取りというのもありですね。 階段を介して上下階とスキップフロアのレベルが繋がり、空気が循環する家、そしてお互いの存在を感じながらのびやかに暮らせる終の棲家。ありそうでなかった例を紹介しました。

のびやかに暮らせる開放的な終の棲家はいかがでしたか?是非感想を聞かせてください!

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