スマートハウスとは、IT技術を使い、住まいの照明や冷暖房などの空調設備や調理設備や家電を管理、制御することでエネルギー消費量を最適化する住まいを指します。次世代住宅とも呼ばれるスマートハウスのポイントは「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」の三つです。今回は、更に最新のスマートハウス事情も含めてご紹介していきます。
スマートハウスの「省エネ」は、LED照明、高効率給湯器などといった省エネ性能の高い機器を設置するだけでなく、さらに住まいの暖冷房エネルギーを少なくするために、断熱、日射遮蔽、気密の3つが重要になります。
そんな省エネ性能の高い家といえば、同時にパッシブデザインの住まいも思い浮かびますね。パッシブデザインは住まいの立地環境と共に、断熱・日射遮蔽・自然風利用・昼光利用・日射熱利用暖房の五つを設計項目として計画されます。タダで利用できる自然エネルギーを最大限活用し快適で健康的な室内空間をつくります。
「住まいの写真」ページでは様々な種類の家を紹介しています。◀
※ 家の写真ページ
スマートハウスの創エネは、代表は太陽光発電システムです。こちらの住まいの屋根全面には太陽光発電パネルが設置されており、屋根面の太陽光パネルの容量は8.78kWで、一般的な家庭の年間消費電力の約2倍の10,424kWhの発電が可能です。家庭用の電力として使用するほか、発電電力量が多い場合は電力会社に売電することが可能です。
クレジット: Yuki Chida
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スマートハウスの蓄エネは、創エネルギーを蓄えておいて、必要なときに利用できるようにすることです。スマートホームの蓄エネは、創エネルギーを蓄えておいて、必要なときに利用できるようにすることです。家庭用蓄電池は太陽光発電システムと併用することで、災害時の停電でも電気を使用することができます。
こちらの住まいは、太陽光発電、リチウムイオン蓄電池による創蓄連携システムなどの最新設備も導入し、箱根の独特な気象条件にもしっかり対応する家づくりが考えられています。
クレジット: 位田明生
【住まいについては、こちらの記事でも紹介しています】
こちらのL字型の住まいの屋根には太陽光発電パネルが設置され、また雨水を集める装置としても機能します。雨水や発電した電気や廃熱をストックできる機能を備えることも可能に。同時に貯められた雨水で太陽光発電のパネルを冷却して、発電の効率を高めることができます。
太陽光発電で発電したエネルギー状況や家庭消費エネルギーを可視化するHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)もメリットの一つです。使用量や発電量を目で見ることで、省エネの達成状況をしっかりと確認できます。
最新のスマートハウスでは、スマートフォンを使って家電や設備を簡単に外からでも操作できるようになります。スマートフォンからエアコンを操作や給湯器でお風呂の準備が出来るなど、家事の負担が軽減できます。
留守中の家の状況を確認することが出来るので、不在時の心配を減らし、防犯面を強化できるメリットがあります。また台風や大雨など突然の天候変化で家のことが心配になった時でも、外出先からシャッターを閉める操作や、あらかじめ警報設定しておくこともできるので安心です。
スマートハウスに住むメリットは、やはり電気料金の支出を大幅に削減できる点にあります。電気会社からの電気供給の必要がほぼなくなるので、毎月の光熱費を抑えることができます。HEMSで消費電力も把握できる点も効果的です。また自家発電と蓄電によって災害時に強い家とも言えるでしょう。
デメリットは、やはり初期費用がかかるという点です。特に太陽光発電に必要なソーラーパネルは導入費用として数十万の投資が必要と言われています。また定期的なメンテナンスが必要になるので、メンテナンス費も計算に入れておく必要があります。HEMSの通信規格に対応している電化製品に買い替える必要がある点も初期費用の高さにプラスされます。
スマートハウスと混同されがちなZEH住宅ですが、両者の違いは「エネルギーをゼロ以下にできるかどうか」というポイントです。省エネという点ではZEH住宅も同様ですが、さらにZEH住宅は年間の消費エネルギーを自宅で全てまかなえるということが特徴です。
スマートハウスでは電力を賢く利用することはできますが、ZEH住宅のように電力エネルギーを「ゼロ」にできません。ZEH住宅は、全ての電力を自宅でまかなえるためエネルギー削減率が高くなります。また政府からの補助金も充実している点はメリットと言えるでしょう。
ZEH住宅のデメリットも初期費用の高さにありますが、それに加えZEH住宅基準を満たすために、外観デザインや間取りに制限が出ることがあります。ソーラーパネルの設置に必要な屋根の形状は、面積が狭い切妻屋根よりも、パネル設置面積の大きい片流れ形の屋根に限定されてしまうことがあります。
屋根に太陽光発電を後付けする工事自体は、約一週間程度で行うことができると言われています。取り付けは、県から「登録電気工事業者」の許可を受けている会社の電気工事士資格を持つ作業員に頼みましょう。また太陽光発電の設置には、防災面や景観、近隣に配慮するガイドラインが設けられています。
蓄電システムは、蓄電池に貯めておける電気の容量が決まっています。KWが多いほど長時間電気を使用することができるため停電時でも安心ですが価格も高くなってしまいます。また蓄電システムを導入するための設置スペースを確保する必要があります。
エネルギーを最適化して運用するシステムが整っているのがスマートハウスの特徴です。消費エネルギーをより賢く利用したいのであれば、スマートハウスやZEH住宅などの導入にかかる初期費用だけでなく長期目線の住宅ランニングコストも一緒に考える必要があります。