今日は地方都市に立つ平屋の住宅を紹介します。周りは古くから残る民家や近年に建てられた戸建てやアパートなど多様な時代の建築が無作為に立ち並んでいます。一方田んぼが残っていたり遠くに山が見えたりと自然環境にも恵まれたこの場所で周囲になじむような住宅を望んだ施主に対してSTUDIO ANTENAはどのようなアイデアを提案したのかさっそく見てみましょう。
周囲の景観を変化させないよう平屋を選択しました。光や風そして積雪を考慮して形態を決定し、敷地に用途別のボリュームを配置しました。接道側に大きな空地を設けることで地域に対して開かれた関係を築いています。
駐車スペースから玄関を見たところです。連続する空間が同軸に配置され中庭も含めて奥行きを作りだしています。母屋の外壁には通常屋根材として使用されるグラスファイバーシングルを採用し個性的かつ周囲の雰囲気になじむ外観にしました。
玄関を入ると和モダンな雰囲気を醸し出すしっとりとした土間と畳の空間が広がる一風変わった間取りです。奥には中庭が配置され風通しの良さそうなおうちです。
道路側に配置されたキッチンが奥に見えます。手前はダイニングですね。空地に向って設けられた大きな開口が光りをたくさん取り入れてくれ、開放的な空間を作ってくれます。プライバシー重視で閉鎖的な 都市部の住宅と異なり、この家は街路に向って大きく開かれているのが特徴です。
木のいい匂いが伝わってきそうですね。天井や床そして造作家具にも木をふんだんに使っています。屋根の勾配をそのまま生かし構造体を利用した動きのある空間が音楽ホールのような雰囲気さえ感じさせます。
放射状に延びた天井の構造体がダイナミックな印象を与えます。シンプルで機能的なキッチンは立ち壁でダイニングスペースと軽く仕切られ、作業のしやすいように計画されました。天井に這わせた照明器具も個性的ですね。
既成の家具よりも場所を有効に利用できるのが造り付けの収納スペースやスタディコーナーです。天窓からの変化する空の表情とナチュラルな木材が生む心地よい空間です。
置き型のバスタブやレトロなテイストの洗面器具によって時間をもデザインされています。中庭に面した贅沢な場所に設えられお風呂場はモダンでありながらどこか懐かしい雰囲気を醸し出しています。
柔らかい照明計画によって周囲に馴染む控えめさと個性を持ち合わせた平屋の住宅。もしこの平屋がいつの時代に建てられたか聞かれてもはっきり答えられなければ、建築家と施主の意図したことはきっとうまくいったと言えるのではないでしょうか。
【平屋については、こちらの記事でも紹介しています】
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