災害の心配を乗り越える、まるでアートのような家

K.Matsunaga K.Matsunaga
コトワリノイエ, Spell Design Works Spell Design Works ミニマルな 家
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近年、災害や異常気象によって悲しい事故が起こるニュースをしばしばみかけるようになりました。どこの地にいても、誰もがその被害に遭う可能性も高まり、防災についての心配は家づくりにおいても切っても切り離せないものとなっています。災害が増えることで保険も厳しくなり、これからは自分で身を守るための方法も必要になることでしょう。家を計画するにあたり、敷地環境をもとに過去の情報を知ることができれば、あらかじめもしものためのことを考えながら計画することも可能です。今回ご紹介するのは、過去高潮の被害がみられた場所に建つ住宅です。SPELL DESIGN WORKSは、この土地特有の心配も考慮しながら、住まい手の思いを汲み取り限られた敷地を十分に生かした家を提案しました。

水害の心配を考慮した外観

この敷地は十数年おきに高潮で浸水する場所でした。そのため、今後住んでいくにあたりいつ水害に見舞われるかわかりません。この住宅を計画する際には、水害の浸水を考慮し、1階のフロアレベルを地面から1メートル以上高くすることが求められました。限られた敷地と考慮する条件、機能をどう配置するかなど課題がたくさんありましたが、作り手の巧みな提案によって見事にこの家が実現しています。一見複雑でユニークなオリジナル性のある外観に見えますが、こういったたくさんの課題を解決するために、どのパーツもなくてはならないものになっています。

限られた敷地内で実現した内部空間

この敷地面積は約30坪です。その中に住宅スペースと、駐車場、庭、ウッドデッキのスペースを叶えるために限られた敷地面積に対して知恵を使う必要がありました。全てを叶えようとするには決して広い面積ではありませんが、その条件下があるからこそ、本当に必要なスペースや機能、優先順位は何か、ということをしっかり見つめることが可能です。理想ばかりを求め、本当に自分たちに無駄のなく必要なものは何かを計画時によく見据えておかないと、たとえ敷地が100坪あったとしても満足する家づくりは誰であってもできないでしょう。この家ではその条件を整理した結果住宅部分の面積を圧迫しましたが、間取りや視覚効果、内装などの工夫によって面積以上の広さを感じられる空間が出来上がりました。

視線の抜けやつながりのあるスペースの利用

内部はホワイトや明るい木の色の内装を利用することで、広がりを感じることが可能です。限られた敷地条件の中で、実現したいものをただ配置するだけでは本当に設けたスペースが生かされないことにもつながります。この家では、それぞれの居室や外部の庭、ウッドデッキの動線に連続性を持たせ、すべてがゆるやかにつながることで無駄なく活用することができています。そして目線のポイントとなる位置に窓を設け、視線の抜ける場所が効果的に採用されました。外観を見ただけだと、ユニークな形状をしているだけに見える部分も、プライバシーを確保しながらとても巧みな工夫で空間の確保が実現できているのことに驚きます。

段差を活用した空間利用

デッキや庭とつながるスペースは、全体の空間はひとつにつながりながらも、ダイニングやリビング、畳の和室コーナーとそれぞれ役割を持つスペースになっています。その役割を分け方に、この家では段差を設けることが選択されました。広いスペースが欲しい場合も、ただ広くするだけではメリハリのない空間になってしまいます。空間ごとに段差があることにより、移動してそれを感じた時の体感変化や、視線の流れにリズムを与え、空間はつながりながらもはっきりとスペースの役割を感じることが可能です。外部のデッキとレベルを合わせたつながりを持たせることができたり、庭とデッキのメリハリをつけたりとほんのすこしの段差が想像以上の効果的な役割を生み出しました。

アート作品のような外観

もう一度、別の角度からの外観を見てみましょう。玄関側からのスペースとはまた違う表情を感じることが可能です。とてもユニークな形状の佇まいが印象的ですが、その形状の中には内と外の機能をどのようにつなぐかということや、より広さを感じさせるための窓や視線の設け方、水害の心配を回避するための条件など、住まい手と作り手のたくさんの想いを感じ取ることができます。ひとつひとつ課題をクリアしながら実現したこの家は、まるでアート作品のひとつのような芸術性さえ感じるような家となりました。

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