横浜の高台に建つラグジュアリーな家

南側に古い擁壁が立ち上がっている敷地いっぱいに計画された住宅です。ほぼ正方形に近い矩形のボリュームの一部を削り取るというシンプルな操作によって多様な外部空間を設け、変化に富んだ豊かな住まいを作り出しています。南側には庭とベランダを配置し、プライバシーに配慮しつつ開放的な住空間を演出。

緩やかに傾斜する道路に面した北側の削り取った部分は屋根付きの車庫に。クールな印象のグレーのガルバリウム鋼板葺きの外壁にダークブラウンの木張りの壁を組み合わせて温かみを添えています。コンクリート板のアプローチを進むと玄関です。ドアは木張りの壁と同材で統一してすっきりと。車庫の天井スラブにはFRPのグレーチング材を採用し、上部からの採光を確保しています。「家族が出会うテラスのある家」も車庫の上を利用してテラスを設けた素敵な住まいです。是非ご覧ください。

玄関を入るとまず目に入るのが、存在感のある階段。右手の開口は車庫に面して設置されたものですが、 FRP材のおかげで想像以上に明るい日射しを室内に取り込んでいます。ダークブラウンでまとめたウッドフロア、建具そして階段が落ち着いた雰囲気を醸し出し、白い壁や天井に引き立ちます。階段が途中まで閉じたデザインとし下部を収納の利用。途中から蹴込み板のないオープンなデザインで抜け感と採光を確保。

階段ホールを進むと吹抜けのあるLDKに。天井まである引き込み戸を全開にすると空間全体が一体化し、より一層広がりを感じさせるプランになっています。予備室と共にL字型に囲んだ庭ともフラットに繋がり、折戸タイプの開口を開ければ内外空間が溶け合い、プライベート感溢れるテラスも積極的に利用できそうですね。高台のおかげで視界は開け、周囲の視線も気になりません。

２層分の開口からは気持ちの良い自然光がたくさん注ぎ込みます。ベランダに採用した木の手摺壁がガラスを貫通して室内の化粧壁まで伸び、内外空間の連続性を強調。上質なマテリアルをセンス良く組み合わせたラグジュアリーなデザインが素敵ですよね。

２階を見てみましょう。階段ホールは上半分をガラスで囲み、吹抜けを介して上下階に繫がりを生み出しています。床から天井まである大きな開口を開けるともう一つの屋外テラスと連続した空間に。実はこのテラス、車庫の上なんです。FRP材によって空から降り注ぐ日の光を１階の駐車スペースに届けつつ、２階のテラスを形成することで空間を最大限に有効利用しています。テラスを介して反対側の居室とも程よい距離感のある関係性が生まれ、繋がりながらもプライバシーが保たれた豊かな空間で構成される住まいです。

ゆったりとした明るい階段ホールは、プラスαの用途で有効に活用。造作で設けた棚やベンチ、カウンターによって図書コーナーやワークスペースにもなるフレキシブルに変化する空間です。もったいないからといってぎちぎちに設計する代わりにこんな使い方もできるホールを取り入れてみてはいかがでしょう。普段の暮しに多様なシーンを作り出し、楽しい住まいになりそうです。