今日はリフォームで見違えるように生まれ変わった築74年の長屋を紹介します。以前は6軒連続していた長屋が切り離され、中央部だったこの家だけが残り、両隣は5階建てのマンションが建ちました。当然採光も不十分な過酷な住環境となり、特に雨漏りが酷かった家ですが、何とかこの家を守りたいと言うクライアントの強い願いのもとにATELIER Mが果敢にも挑戦したリフォームプロジェクト、是非ご覧下さい。
ご覧の通り、両隣はぴったりとマンションがくっついて建っています。ダークな色合いの金属製の外壁で個性的な表情を街路空間に対して与えています。殺風景になりがちな密集地にも観葉植物を添えるだけで親しみのある雰囲気をもたらしますね。間口はたった3.8mですが、奥行きは16mもある敷地です。
上部から住宅をみたところです。まさにコンクリートジャングルの中で生き残った木造住宅と言った感じですね。増築によって屋根形状が複雑になった箇所に雨漏りが発生していたので、屋根を単純な形態の片流れとすることで、雨水がスムーズに流れるように改造しました。ぽっかり開いた穴は新規に設けられた光庭です。
玄関を入るととてもモダンな室内が広がります。ビルトインの収納をたっぷり設け、広々とした三和土が出来上がりました。さりげなく飾ったシンプルな観葉植物が忙しない都会の生活に安らぎを与えてくれます。
玄関ホールから奥へ進むとちょうど敷地の中央当たりにリビングダイニングを配置しました。そしてこの家の最も重要な要素とも言える光庭が設けられました。ナチュラルなテイストの造作家具とフローリングが心地よい明るい空間を作り上げています。そんな空間にビビッドなカラーのソファーがアクセントになっています。
この光庭によって通気や採光を確保するのはもちろん、周囲にマンションが迫る住空間に癒しの風景が出現しました。光庭に植えられたイロハモミジの葉が揺らぎ、移ろう影が視覚的かつ精神的な安らぎをもたらしてくれるでしょう。飛び石と砂利が静寂な雰囲気を醸し出し、マンションに囲まれていることを忘れそうなくらい心が落ち着きますね。
リビングから光庭の向こうに和室を見たところです。廊下を渡ってもよし、飛び石を歩いていってもよし。決して広いわけではないのに、空間の変化に富んだ計画により、精神的豊かさが得られるリフォームが実現しました。今までは悩みの種だった雨がこの光庭では風情あるものとして愉しめそうですね。
一階の一番奥に配置された和室です。和モダンな雰囲気いっぱいの明るくシンプルな空間です。ここにも素敵な観葉植物が置かれ、長屋という限られた空間にさりげなく自然を取り入れていますね。細いピッチの桟で構成された障子や濃紺の色をあしらった襖が洗練されたセンスで見立てられています。
玄関からリビングの途中に設けられたキッチンです。白を基調とした機能的なキッチンになりました。光庭からの採光がリビングを抜けてキッチンまで届きます。直線的に開放した軸のおかげで、作業しながらも光り庭の気配を感じることができます。
2階の居室のひとつです。天井近くには濃い茶の趣きのある梁が剥き出しに飛んでいます。リフォームによって新しい要素を加えながら古いエレメントを見せることで、家の歴史を感じることができ、より一層愛着が湧くのではないでしょうか。他の居室と同様、ダウンライトを採用することですっきりとした空間を作り、様々な表情をもつ木の素材を取り入れたナチュラルなインテリアです。観葉植物やマスタード色のベッドリネンがうまく調和した暖かな印象の居室です。
この居室には空間に広がりをもたらす小さなバルコニーが付いており、その向こうは光庭が1階部分にあります。周囲が囲まれた住環境ですが、ちょっと外に出られる空間があるのは便利ですね。
こちらは道路側に設けられた居室です。前述の居室同様白い壁とナチュラルなフローリングで構成され、こちらはシックな配色のインテリアでまとめています。素敵なカラーコーディネートのセンスは是非見習いたいですね。それぞれの居室に置かれた観葉植物がキーワードのようにこの長屋住宅に調和をもたらしています。
2階の2つの個室の間に設置された姉妹が一緒に使えるウォークインクロゼットです。出来る限りモノを省いたそれぞれの居室を支える裏舞台です。両サイドからアクセスできるたっぷりとした収納力をもったクロゼットは、細長い敷地ならではのアイデアと言えるでしょう。
通常なら諦めてしまいそうな住環境ですが、この家を守りたいというクライアントの願いが今回のリフォームによって叶いました。駆体も含め大規模な改造で戦時中に建てられた住宅とは思えないほどモダンな住空間に生まれ変わりました。家族の思い出が詰まったこの家でクライアントの姉妹が末永く暮らせるといいですね。
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