素材感が生み出す心地良い生活

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桜の家, 石井秀樹建築設計事務所 石井秀樹建築設計事務所
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人生において、過去を懐かしむ事は何度かありますよね。懐かしい音楽を聴いたり、思い出深い香りを嗅いだり、親しんだ味を味わったりと、五感で覚えた感覚が時を経て再び感じると、記憶と共に過去を思い出します。過去に浸るのは後ろ向きな事だけとは限らず、その記憶によって再びエネルギーを貰ったり、今思い起こすから新たな視点が生まれたり。それは人の心にポジティブな感情を与える事かもしれません。今回ご紹介するのは、屋根や外壁を一体のコルテン鋼で作った少し個性的な二世帯住宅です。お施主さんはグラフィックデザイナーというご夫婦。そしてご主人のお父様は彫刻家であり、コルテン鋼を使った作品を数多く手掛けているのだそう。今回、石井秀樹建築設計事務所によって、お施主さんの幼い頃から身近にあった懐かしい素材のコルテン鋼を外装材として取り入れました。素材のポテンシャルを生かしたこれからの時代にフィットするような住宅となりました。

質感の新しい外観

今回の建替え前、実家にはコルテン鋼で作られたポストや表札が掛けられていたり、お父様の彫刻作品が室内に点在していたそうです。そんな身近に触れる機会の多かった素材を用いた新たな住宅外装は、圧倒的な存在感を放つ外観となりました。このコルテン鋼は塗装をしなくてもさほど錆びず、見た目にもその錆が細密で、素材の内部まで腐蝕されない鋼材なんだそう。確かに、外観は目新しく、見慣れない反面、ベロア生地のような質感をイメージするその細密さから、落ち着きあるシックな印象で親しみやすさを感じます。なお、適切な管理をすれば無塗装で使用できるようで、メンテナンス費や塗装費を低減できてしまう優れもの。まさにこれからの時代に活躍してくれる素材なのかもしれません。

街並みに添えるスパイス

前面道路からその外観を眺めてみれば、より一層住宅の全体像を一望できます。まるで大きな板チョコを横から見たようにも見える外観は、いつもの街並みにピリッとしたスパイスとなりました。コルテン鋼で仕上げられたボリュームは長手方向奥へとだんだんスケールダウンしていて、圧迫感を与えないよう、近隣や景観にも配慮したデザインとなっているんです。

大きな開口のリビング

二階、コルテン鋼のボリュームには子世帯の住空間が配置されています。圧迫感の軽減と採光や通風の確保によって分割された空間。その一角、大きな開口をもったリビング空間はモダンで暖かな雰囲気の明るい空間です。そのコルテン鋼の質感は空間への印象+αのようにスタイリッシュな要素となっています。薄くても丈夫な庇に、継ぎ目の目立たない仕上がりはその見た目だけでなく機能や特徴が活きているのではないでしょうか。

外観とのコントラスト

前面道路からは小さな小窓の二階部分の外観に反して、高い天井に大開口、開放感あるダイニングキッチン。長細い空間は少しデメリットかと思いきや、空間の中央を陣取るカウンターキッチンによって、一連の家事もスムーズにこなせるオシャレで機能的な空間へ。高窓から差し込む採光は日の移ろいによって空間をくまなく照らしてくれます。

静かに灯る夕景の中の外観

日が沈んで家に明かりの灯った本住宅外観。一階部分は子世帯のアトリエやガレージ、親世帯の住空間となっています。前面道路から見えるのはアトリエの中の様子でしょうか。小さな小窓と内部の様子がうかがえる外観は控えめながらコルテン鋼の二階とのバランスが相まって、どっしりとした雰囲気です。なんだかヨーロッパの田舎に佇む農家の家のような可愛らしさも。見慣れない素材の住宅でありながらも、どこか親しみの湧くこれからの時代に調和していく、そんな二世帯住宅となりました。

コルテン鋼の持つ魅力が活かされた二世帯住宅はいかがでしたか?是非、コメントをくださいね!

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