古き良き暮らし:和風家屋

Rei Watanabe Rei Watanabe
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居住を目的とした建築には、地域や年代に応じた生活の在り方を見ることが出来ます。日本の住宅も、時代の変化と共に形を変えてきました。職業は多様化し、働く場所と暮らす場所が分かれる様になりました。核家族化が進み、都市部への人口集中や転勤が増え、近所付き合いが減りました。暮らす家は個人主義の西洋とあまり変わらないものになってきていますが、中に暮らす私たちはこの変化に付いて行けているでしょうか。感情表現や自己主張は出来ないまま西洋的な個人主義の家で生活すれば、人間は孤立します。部屋同士、更には建物の外ともゆるりと繋がる日本家屋をご紹介します。

懐かしさの宝箱

homifyが手掛けた家
homify

厚木の家

homify

株式会社鎌倉設計工房によるこちらのお宅は、建築もインテリアも素敵で、どの写真を紹介するか迷ってしまいます。迷ったあげくに、特に気になった沓脱ぎ石付近の一枚を選びました。屋内に入ってからのこの一角、ホテイアオイの水鉢、金のなる木、昔はよく目にしたものの、いつからか消えてしまったものたちが、こじんまりと溢れています。こんなに懐かしいのに古臭さはなく、縁のない障子や畳を使い、モダンでスッキリと纏まっています。

新旧が溶け合う

こちらは株式会社古田建設設計事務所によりリノベートされた、築150年の民家です。過去にも再生を経て、時代とともに改良されてきたお宅を、耐震性を考慮し、基礎・軸組から改装したということですが、古い木材や建具を残すだけではなく、より見せて行くものにしています。例えばこちらの玄関ですが、以前からの式台が再利用されています。歳をとると辛くなるかもしれない上がり框も式台があると安心です。靴も揃え易くなりますから、和風家屋に合った身のこなしが自然と出てきますね。真新しい壁のモダンな照明も古い襖も違和感なく共存しています。

奥行きのある暮らし

和風家屋の一つのタイプである町屋の構造を生かした造りとなっています。向井一規建築設計工房による、築80年も経つ長屋のリノベーションは、良いものを残し、不便な部分を変え、理想的なものを作り出しました。長屋独特の奥行きを生かし、間口に近い側より奥に向かうにつれ、仕事場からプライベート空間へと変化する通り土間は、外と中の距離を生活の私的さの層へ組み替えます。間口部分に木の縦格子があることで、通りに面する仕事スペースも、中からは開放的でありながら外からの視線を遮ります。

切妻の平屋

「林の中に住む。」: 丸山晴之建築事務所が手掛けた和室です。
丸山晴之建築事務所

「林の中に住む。」

丸山晴之建築事務所

丸山晴之建築事務所による、切妻の屋根が印象的なこちらの平屋は、大きなガラス窓に囲まれた大変開放的なものとなっています。共用空間を壁で区切らず、一つの大きな繋がりとしている為、屋内からも家全体を覆う大きな屋根を感じることが出来ます。植樹が成長すれば、両面の大きな窓の外に林が育ち、家の中にいながら林の中に居る暮らしが送れるよう設計されています。雪の積もる季節には、土間で薪ストーブに当たったり、湯船に浸かったり、暖まりながら雪景色を満喫できますね。自然との共生は和の暮らしの一つの大きな特徴です。

昔からの居心地+現代の使い心地

伝統のしつらえと、モダンライフの融合: 吉田建築計画事務所が手掛けたベランダです。
吉田建築計画事務所

伝統のしつらえと、モダンライフの融合

吉田建築計画事務所

こちらの古民家リノベーションも、現代の生活に適応させながら、古き良きものを守っています。田追えばこちらの縁側、和風家屋の一番の特長である外との繋がりを壊すこと無く、窓が嵌め込まれています。美しい縁側も実際に暮らしていればすきま風が寒く、廊下を通ることを考えればお手洗いに足すのが面倒になる、なんていうこともあります。必要な場所に現代の技術を取り入れながら、本来の良さを保ち続ける、リノベーションの理想の形です。

屋内テラス

志賀建築設計室によるこちらのお宅は、和風家屋の特徴を存分に取り入れています。例えば廊下と部屋の間の壁には欄間が設けられ、ガラス窓がはめられています。ウッドデッキは、外来のものという感じが強いかもしれませんが、こちらのデッキはどこか和風ですね。外国のウッドデッキというのは完成した家の外にせり出すものですが、大きな屋根をしっかりと支える複数の柱を持つこちらのデッキは、屋外が家の中に入り込むような形になっています。特に二階のデッキは屋内と言った方が善いでしょう。ウッドデッキと縁側の折衷と言った所でしょうか。

構造部の美

こちらの町屋も歴史が古く、築100年以上経っています。こちらのリノベーションを担当した岩本賀伴建築設計事務所も、良いものは残し足らない部分は足す、という方法で、今住み易い昔の家を造り上げました。構造部分の表されたこちらの屋根裏も、その良い例です。長く使える良い素材の構造部分はそのままに、床や壁など老朽化する場所は新しいものに替え、美しさにおいて時を感じさせながら、強度と清潔感において古さを感じさせません。

タイムスリップの飛び石

忘蹄庵建築設計室は、敷地内の茶室を残しつつ、新築の家を建てましたが、新旧二つの建物が違和感なく並びます。軒を連ねた玄関前は直線を使ったモダンな前庭が設置されていますが、こちらの裏庭は、より昔の面影を残す茶室の味が色濃く出ています。茶室の庭はカーブを描く飛び石によって住宅のテラスに繋げられています。カーブを曲がる時に少しタイムスリップをするようですね。「座」の高さが「立ち」の高さに変化する不思議な通路です。

庭中心に設計された家

こちらのお宅も自然を身近に感じられそうです。和の生活に独特なものに四季の移ろいを重んじるということがあります。この庭、そしてこの庭に向かって大きく開かれたリビングダイニングがあれば、いつも身近に四季の移ろいを感じることになるでしょう。鶴巻デザイン室は、既存の庭を生かすことを念頭に置き、建物部分を設計しました。庭も良いものは残し、直すべき箇所は使いやすい様に加え美しく清潔です。リビング-縁側-庭の連なりが、現代に生きています。

自然の中の自然素材の家

森の舟屋  自然に逆らわない「素」の住まい: 株式会社 けやき建築設計が手掛けた家です。
株式会社 けやき建築設計

森の舟屋  自然に逆らわない「素」の住まい

株式会社 けやき建築設計

株式会社けやき建築設計は、敷地条件を生かした自然素材の家を、というクライアントの希望をこのような形で叶えました。長く使える自然素材ということで、木材による建築となり、敷地条件を生かす為に外との繋がりのある間取りとなり、つまり和風家屋になりました。何と言っても印象的なのが家の周りをぐるりと囲むバルコニーです。細長いその形状は外廊下と言うべきかもしれません。その回廊をしっかりと覆う深い軒先からは意外な感じがしますが、中は大変明るくなっています。回廊に面した窓を開け放して木々と土の香りが通り抜けるでしょう。

現代の子供たちのふるさとの記憶にも土間や縁側を与えたいですね。ご感想お待ちしております。
FingerHaus GmbHが手掛けたプレハブ住宅

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