柳瀬真澄建築設計工房が手がけた和風建築を紹介します。密集地でありながら気持ちの良い風が通り抜ける敷地に計画されたこの和モダンな住宅は、自然素材を取り入れた趣きのあるデザインが魅力的。庭の風景を楽しめるように居室を配置し、自然の移ろいと共に静かな時間の流れを感じられる住まいです。
四方を戸建て住宅やアパートに囲まれた共有敷地を含む旗竿状の敷地ですが、明るく静かな環境にあります。グレーの落ち着いたトーンの外壁に重なる屋根がゆったりとした趣きのある佇まいが印象的です。丁寧に植えられた植栽に彩られ、庇の張り出した玄関ポーチと明るめの木の玄関ドアが優しく出迎えてくれます。
柔らかな光に包まれる玄関は、無垢のウッドフロアと濃いめの木の素材で設えた収納家具や建具で落ち着いた雰囲気を演出。漆喰壁の独特な質感と色味がさらに温かみのある空間を作り上げています。
実は玄関脇の格子の建具はリビングエリアと繋がる開口なんです。そして玄関ホールの柔らかな雰囲気はスリット状のガラスから入り込む光のおかげ。曇りガラスにすることで光を調整すると同時に外部の様子を間接的に伝え、奥ゆかしさが感じられます。
リビングは30cmほど床を掘り下げて石張りで仕上げています。また天井は片流れ屋根の形状がそのまま現れ包み込むような雰囲気を空間に作っています。こういった所作によって籠もり感のあるリビングが生まれました。白とダークブラウンを基調としたシックなインテリアも必見です。
リビングとダイニングキッチンは 庭を囲むようにL字型に配置。オープンな階段を含む吹抜けのあるダイニングが家の中心に置かれ、それぞれの居室と緩やかに繋がっています。正面の天井まである磨りガラスの開口からは周囲の視線を程よく遮りながら柔らかな光を取り入れています。左手のセミオープン型のキッチン、上部には2階の居室と繋がる小窓を設置。
2階のギャラリー式の渡り廊下はすのこ状になっているので圧迫感をなくすと同時に上部からの光を下階に届けられるようになっています。木の質感が美しい縁側を介して庭と繋がり、旗竿地とは思えないほど広がりが感じられる住まいです。「癒しの空間が魅力的な和モダンな家」も庭をL字型に囲んだ住まいで、縁側を介して自然の風景を取り込んだ住まい。上質な素材で仕上げた内部空間も素敵です。是非ご覧ください。
2階の奥は子ども室。小窓を介してお互いの気配を感じられるようになっています。子ども室前の廊下部分はライブラリーコーナー。造り付けの本棚とベンチによって心地良い居場所が生まれました。位置や形状など入念に計画された様々な開口によって視線の抜けや空間の広がりを確保したこの住まい、四方を囲まれながらも爽やかな風が通り抜け、十分な開放感を感じられるようになっています。