伝統とモダンライフが融合したリノベーション

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伝統のしつらえと、モダンライフの融合, 吉田建築計画事務所 吉田建築計画事務所 クラシックデザインの 多目的室
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伝統とモダンは相容れないものでしょうか?こちらの住宅をご覧になればその答えが分かるでしょう。茨城県に拠点を置く吉田建築計画事務所がリノベーションしたのは、昭和3年築の母屋と震災で被災した明治26年築の土蔵。敷地はつくば市にあり、国の指定史跡小田城址や土蔵、古い民家の残る歴史ある集落内に位置しています。母屋は20年以上使用されずにいたこともあり老朽化していましたが、クライアントのお母様が毎日戸の開け閉めをしていたことや、しっかりとした構造だったこともあり、幸運にも震災による影響はわずか。現代に生きる私たちの生活と100年を超える伝統を持つ建築物。いったいどんな住宅になったのでしょうか、さっそく見ていきましょう。

外観

これぞ日本家屋といった威厳と風情を感じさせる外観です。重厚な瓦屋根、黒と白の清廉なコントラスト、掃き清められた庭。思わず背筋がしゃんとするような雰囲気を醸し出している住宅です。クライアントからの要望は「民家の大切な特徴を残しつつ、明るく風通しの良い室内環境。機能的で快適な暮らし。インフラの充実。耐震補強。高齢のお母様の為にバリアフリー」といったことでした。また、インテリアはご夫妻がヨーロッパ在住時に購入されたアンティーク家具と部屋とのコーディネイトを希望されました。

広々とした玄関

こちらが広々とした土間を持つ玄関です。優しい光が差す格子の引き戸、現しの天井、土間から続く木戸や障子で仕切られた開放的でフレキシブルな座敷、と伝統的な設えとなっています。リノベーション作業中に建築家と大工が驚いたのは当時の職人の緻密な仕事ぶり。吟味された良材が使用されていたことが各所に見られ、小屋組みもさることながら、特に仕口の納まりなど驚くほどの巧妙さだったそう。だからこそこの住宅は2015年の現在まで生き続けてきたのですね。

ヨーロッパのアンティークを合わせて

こちらはフローリングとなったダイニングルームです。ヨーロッパで購入したというアンティーク家具が不思議としっくり馴染んでいます。シャンデリアを梁に設置して、明治時代の洋館のような雰囲気です。東西の違いこそあれ、伝統技術で丁寧に作られ大切にされてきたものは相性が良いのかもしれませんね。

新たな動線作り

今回のリノベーションでポイントとなるのは新たな動線作り。機能的な家事動線のため浴室を建物中央へ設け、キッチン、洗面、浴室とを直線でつなぎました。こういった配慮が快適なモダンライフの基盤となります。さらに南側の土間、座敷、奥座敷の間取りは復元し、北側は通風と採光を確保する為に、吹抜けと大きな開口を設けて、風通しの良い明るい室内を実現。

伝統技術の継承

耐震性については新築同等の耐震壁を設置し、基礎も固め直すなどの対策がされています。建築家は言います「改めて日本の伝統技術の素晴らしさを再認識したと同時に、後継者育成が急務になりつつあることを感じた現場でした」と。我々末端ユーザーの需要が無ければ、供給も供給する職人の技術もいつか途絶えてしまいます。しかしこの伝統とモダンが融合した住宅に魅力を感じない人は少ないことでしょう。

伝統とモダンライフが融合したリノベーションいかがでしたか?ぜひコメントを書いて下さいね。

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