思い出を移設するという選択「江波本町の家」

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江波本町の家, エルイーオー設計室 エルイーオー設計室 オリジナルデザインの 多目的室
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「住まいには何よりも『人』が主人公、そしてその住まいでの木の役割はとても大きいものだと思います。子供が成長するように、家も成長していくもの。私たちは『HOUSE』ではなく『HOME』づくりを」そう語るのは広島市に拠点を置き活動するエルイーオー設計室です。クライアントの住宅は江波の港町にある築103年の住宅。しかし立ち退きのため近隣に新築住宅を建設することとなりました。都市計画のための立ち退きは仕方のないことなのかもしれません。けれど家族が代々継いできた103年分の思いのある住宅です。そう簡単に壊せるものではないということは想像に難くありません。そこで建築家は、家族の思い入れが詰まった住宅の面影を残すため、従来の材料を化粧として新たな建物に利用する計画としました。どんな住宅になったのでしょうか、さっそく見ていきましょう。

外観

伝統的な日本家屋を感じさせる外観ですが、外壁材を明るいトーンに、瓦も薄手・軽量に改良された新しいタイプのものを使用することで、全体が軽やかで爽やかな印象となっています。

軽量瓦の利点

従来の重い瓦は重厚感があり伝統的な美しさを感じさせますが、地震の際にはその重さがネックになることもあります。近年、軽量化&強度を増した瓦が様々なメーカーによって作られており、耐震性アップのために瓦屋根をリフォームするという選択肢があります。

既存住宅から移設した家族の紋が堂々とした威厳を感じさせていますね。

移設された和室

特に思い入れの強かった和室は、同じ材料を従来の寸法のまま新しい住宅に移設しています。それがこちらの部屋。新築部分のフローリングが敷かれたスペースとも違和感無く馴染んでいますね。従来使われていた材料は採寸し、機械ではなく職人の手によって丁寧に解体が行われ、こうして新しい居場所を得たのです。建築様式としては移築と新築を組み合わせたようなものと言えます。

キッチン&ダイニング

こちらは新築されたキッチン&ダイニングスペース。力強くリズミカルな梁、そしてその先の天窓から差す自然光が部屋全体を明るく活気のあるものにしています。カウンター側にシンク、壁側にコンロなどが設置されていますが、カウンター全面を高くすることで向こう側が隠されてすっきりとした印象のキッチンとなっています。そしてキッチンの床はタイルが敷かれているので、汚れに強く手入れもしやすい。

すべてが自然素材

こちらの住宅は内装材、外装材ともにすべて自然素材が使われています。そのメリットとは、素材そのものが呼吸をするので空間の湿度調整が可能なこと、シックハウス症候群など化学物質アレルギーのリスクが少ないことなどがあげられます。こちらの住宅で内装材に使われているのは卵の殻を粉砕して生成された塗料、外装材には火山灰を利用した外壁材などが使用されています。

移築と新築が融合したこちらの住宅いかがでしたか?ぜひコメントを書いて下さい!

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