青空気持ちいい天気のいい日、目の前に広い青々とした芝生を目にしたら、どんな気分になりますか。大の字に寝転んでみたり、ピクニックやパラソルの下で読書もいいですね!芝生の上ではとにかく何でもできそうな気分にさせてくれます。近年、校庭の芝生化なども増えてきているように、芝生のもたらす効果によって教育的効果も期待されているとか。子供たちにとってはケガの防止や芝生に住む動植物に対する情操教育、環境にとっては温暖化防止や景観の向上などその効果は嬉しいことがいっぱいです。そこで、屋根の上を芝生で覆ってしまったという、本住宅「mat house」をご紹介します。大地の緑と住まいが一体になった丘のような面白い本住宅はKAZ建築研究室によって、お施主さんの個性的なライフスタイルを正面から受け止めたような「力強く大地に根付く家」が生まれました。
南側から見る本住宅は、閑静な住宅街に効かせるスパイスのように13本の梁が突き出た個性的な外観。両端には屋根上へと上がれる階段があります。その13本の梁には緑の蔦が絡むと夏場は熱さをしのぐグリーンカーテン、そして道路からの視線を和らげる緩衝材となってくれます。庭から始まる青々とした緑をグリーンカーテンが屋根まで繋げてしまえば、そこにはゆったりと大きな緑の丘が現れます。
本住宅は木造の平屋建て。そのため目線は低く、屋根の上にあがっても「高所恐怖」なんてこともなさそうです。家族みんなで屋根上の芝生に上がればそこは第二のリビングのようにくつろげます。まさに自由な空間は家族みんなが思い思いに過ごせる場所です。
リビングと土間に面する壁は黒板仕様で仕上げられています。こんなに大きなキャンバスがあったら、気持ちよく描き出せそうですね。なんとこの壁はお施主さんであるお父さん自らが塗装されたんだとか。家族のためにモノを作り上げるという気持ちが存分に織り込まれた壁は家族みんなが使うコミュニケーションツールとなるのでした。
キッチンに対面するように、リビング空間にあるワークスペースです。まるで手元を照らしてくれるかのような小窓。木材のに囲まれたワークスペースにはテーブル周りも気持ちよくモノが納められるよな仕切りになっています。家族みんなで使う事によって、常に誰かが使う事を考えた行動が自然と持てるようになりそうですね。
お母さんはキッチンでお料理を、子供はダイニングでお絵かきを。そんな各々に集中しながらも空間を共有できることによって、互いに安心感を持つことが出来ます。随所から照らしてくれるランプは、あらゆる角度に影を落とし、空間に奥行を与えてくれるかのようです。
13本の梁の個性的な外観から夜なると、室内の灯りに照らされより強調されたように映ります。梁によって住空間と外部をゆったりと濁してくれます。夜に晴れた空の日、閑静な住宅街では屋根上の芝生だって夜空を眺めるには絶好の特等席になります。そこに芝生というスペースが生まれると人も環境も動植物もみんなが嬉しい場所が生まれるようです。