お寺や伝統建築を手がける望月工務店/建築設計室による木造の軸組構造が特徴的な住宅を紹介します。最近では一般住宅でなかなか見られない木組みや左官工事による伝統的な要素に現代生活に合ったスタイルを取り入れた斬新な住まい、さっそく見てみましょう。
伝統的な日本建築の構造やエレメントを取り入れたこの住宅は、杉板板張りと白いガルバリウム鋼板による外壁が構成する斬新な形態を持ち、まさに伝統とモダンが混ざり合った佇まいが目を引きます。 素材や構造を知り尽くした工務店と経験のある職人さんによって実現した質の高い木造住宅です。外壁を突き破って外壁を支える梁が建築の力強さを感じさせますね。
通常隠れてしまう構造をあえて見せることを化粧といい、見せるからには部材は見た目も大切です。この天井裏の化粧小屋組みは12cm角の梁を雇い臍・込栓・貫・楔で構成しており、その圧倒的な眺めに伝統的な大工技術の素晴らしさが伺えます。無垢の木材に宿る自然の力強さと優しさが大らかに包みこむダイナミックな空間ですね。残念ながら日本の伝統建築はどんどん忘れられていっていますが、できることなら残してゆきたい大切な文化です。「やっぱり和風建築!自然と共存する住まい」も素敵な住宅なので是非ご覧になってください。
こちらは2階のフリースペース。1階の吹抜けをぐるっとギャラリーで囲み、上下の空間を繋げた開放的な間取りなので、1階からももちろん小屋組を眺めることができます。横材に埋め込んだレールに取り付けた照明が暗くなれば造り付けのカウンターに明かりを提供すると共にきっと天井裏もそっと照らし、幽玄な雰囲気を出してくれるのではないでしょうか。
1階はウッドフロアのダイニングキッチンと団らんの場である畳みスペースで構成された間取りです。鴨居までの掃き出し窓と吹抜け上部の開口から気持ちの良い陽光がたっぷり注ぎ込みます。そして家族が楽しく過ごせる掘りごたつ式のテーブルが和みますよね。縁なし畳にすることで「ザ・和室!」という重苦しさから解放され、モダンなライフスタイルにもぴったりの空間が生まれました。壁側にゾーンごとに必要なものを収納できる造作の家具を設け、すっきりと部屋を片付けられるのも嬉しいですよね。
吹抜けを見上げたところです。複雑な木組みを通して入り込む日の光が変化しながら空間を演出。ルーバー式のキャットウォークもアクセントになっています。
畳スペースより数段下がったところにダイニングとキッチンを配置しています。オーダーメイドのキッチンはシンクとコンロを並べた大変機能的でコンパクトなもの。背後には棚をたくさん設けて収納スペースをたっぷり確保しています。実はこのキッチンのワークトップ、先程の掘りごたつ式のテーブルと一体化しているんです。もちろんタタミスペースでの食事も楽しそうですよね。このおうち、至るところにたくさんの木を使っていますが、塗り壁には工務店オリジナルのスサを混ぜた漆喰を使用しています。天然素材ならではの独特の温もりを感じさせる質感と色調が心地良い空間を木の素材と共に作り上げています。