日本人にとって縁側空間ってやっぱり落ち着きますよね。内外の中間的な領域、自然との共存を目指す住まいは日本独特の建築様式を育んできました。そんな曖昧な空間を現代のライフスタイルに取り入れた住まいを岩田建築アトリエが手がけました。平屋建てのワンルームを中心とした住まい、さっそく紹介したいと思います。
周囲は新旧の住宅が入り交じる比較的のんびりとした街並みを作る住宅地。そんな周辺環境の中でも耐久性の高いガルバリウム鋼板葺きの屋根、マットな質感の黒いガルバリウム鋼板張りの外壁によってスタイリッシュな外観に仕上がった住宅です。同時に和風の趣きを持つ深い軒の安定感のある平屋建てが控えめながらも一線を画した佇まいが目を引きます。
存在感のあるミニマルなデザイン。クールな雰囲気を出してくれる打ち放しコンクリートの塀で隣地とざっくりと隔てられた玄関アプローチを緩やかに上がっていくと黒い外壁にコントラストを放つ暖かみのある木製の玄関ドアがあります。柔らかいダウンライトで落ち着いた雰囲気で優しく出迎えてくれそうなアプローチですよね。
この住まいの特徴は南側に設けたインナーデッキと呼ばれる縁側空間。全部で1間( 1.82m)の幅があるのですが、格子の引き戸でこのように部分的に仕切ることができます。こうなるともう内部空間そのものといった感じですよね。リビングダイニングとインナーデッキの間も掃き出し窓を採用し、全開すればご覧の通り縁側と一体化するんです。もちろん格子の引き戸を開ければさらに続くテラスを介して外部空間へと繋がり、開放感溢れる住まいになります。中間領域的な外部空間を持つ平屋建ての住宅の例として「PATIOのある平屋建ての住宅」も参考になるかと思います。
真っ白でクリーンな印象の内装に天井のナチュラルな構造体や外壁をそのまま引き継いだインナーデッキのガルバニウムの壁がアクセントになっていますよね。奥にはキッチン、そしてインナーデッキに面して小窓のある部分はライブラリになっています。 天井の高い部分にはトップライトで採光を確保、そして一番低い位置で2.1mという天井高。そのメリハリによってワンルームでありながら変化に富んだ豊かで開放的な空間が生まれました。重厚感のある赤味を帯びた「香桧」という桧の床材も目をひく内部空間、どんなテイストのインテリアにも合いそうですよね。
インナーデッキと続くもう一つの空間がこちらの三帖ほどの和室。建築家曰く和室というよりタタミスペースといった感じですね。実は床下が収納スペースとなっていて大変機能的なんです。インナーデッキに繋がる小窓や高さを抑えた天井が籠もり感のある和の空間を演出。まるで枝の延びた木のような表情を見せる構造体がアクセントを与えるミニマルな小空間、一体どんな使われ方がするのでしょう。
【平屋については、こちらの記事でも紹介しています】
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