壁の変更は不可能、しかし新しい魅力が生まれたリノベーションとは?

Emi M Emi M
Google+
Loading admin actions …

壁式構造とは柱や梁を使わず、壁で全体を支える構造のこと。床と壁を接合するためコストが安く強固だといわれており、主に中低層のマンションなど集合住宅に用いられています。しかし、構造上ある程度の壁量が必要なため、開口部の取り方が限定されるといった欠点もあります。苅部寛子建築設計事務所が手掛けた、世田谷の共同住宅リノベーションはその条件をクリアし、古さと新しさが調和した不思議な魅力のある住宅へと変わりました。さっそくご紹介します。

要素を徹底的に調査すると見えてくる

延床面積は95.55平方メートルというもともと広めの間取りと、第一種低層住居専用地域の三階という恵まれた環境の一方で、難点は壁式構造のため壁をほとんど変更出来ないと
いうことでした。そこで壁以外の要素を入念に調整することで、もともとある壁を活かしながら、広がりのある空間となるよう建築家は考えました。

構成はそのまま、仕上げは印象的に

北側に配置された長い廊下とそこからアクセスする部屋によって成立している構成をそのままに、各部屋の一面を印象的な仕上とし、キッチンや飾り棚、カウンターをレイヤー状に配置しています。こちらの写真は玄関からの眺め。広めに取られた玄関は土間としてフレキシブルに使用できる空間です。壁の変更はできなかったといっても閉塞感はまったく感じません。リビングではこれらが重なった状態で見え、とてもダイナミックな空間になっています。


ダイナミックな空間

壁の変更はできなかったといっても閉塞感はまったく感じません。リビングではこれらが重なった状態で見え、とてもダイナミックな空間になっています。


明るくオープンなキッチン

キッチンは配管なども敢えて隠さないオープンタイプで軽やかな印象。並べられた素朴な食器たちは、それぞれがストーリーを持っているようなどこか懐かしい雰囲気。

仕上げは四種。古いものと新しいもの

仕上はコンクリート普通型枠打放し、モルタル金ゴテ、パテ扱きの上クリア塗装、ラーチ合板の四種を使用しています。普通型枠打放しは古い躯体をそのまま使用し、ラーチ合板は新設しました。ラーチ合板とは唐松などの針葉樹で作られた合板のことで、本来は壁や床の耐震構造用の面材に使用し、表には出ないものです。しかしそのユニークな木目や素材感は、写真でもご覧頂けるように魅力ある室内空間を演出するのに一役買っています。

ユニークな壁の作り方

こちらの住宅の大きな特徴である独特な魅力を持つ壁はどのように作られたのかというと、もともとあった壁紙を剥いで、現れたモルタル+パテ扱きに上塗りをしたものです。仮に同じ物を新しく作成しようとしても、年月を積み重ねた”古さ”が持つ質感やその魅力までは再現できないことでしょう。この壁自体がひとつのアートのような、そんな存在感さえ醸し出しています。

何にも似ていないその魅力

古い要素でありながら新しい、中間的な存在を多用することで、古い建物なのに新しいものと良く調和し、新しい要素があるのに年月を重ねた良さを残している。世田谷フラットは何にも似ていない、この住宅だけが持つ魅力に溢れた空間へと生まれ変わりました。逆に言うとこの”古さ”がなければこの魅力は生み出されなかったと言えるでしょう。

このリノベーションについて何か感じることはありますか?ぜひコメントを書いて下さい!
FingerHaus GmbHが手掛けたプレハブ住宅

住宅建設や家のリフォームをお考えですか? ぜひご連絡下さい!

住まいのデザインを見つけよう!