軽井沢と言えば日本でも有数の歴史ある避暑地・別荘地です。しかし近年は首都圏から短時間でアクセスできるようになったため、別荘としてではなく軽井沢に定住したり、軽井沢から東京へ通勤するライフスタイルの人々も増えてきました。今回紹介する廣田悟建築設計事務所が手掛けた軽井沢に建つ住宅も、別荘ではなく定住型の住まいとして計画されました。建て主は都心のオフィスに新幹線通勤しながら、週末は家族と一緒に軽井沢の豊かな自然の中でゆったりと過ごす生活を送っているそう。どんな住宅なのでしょうか、さっそく見ていきましょう。
外観は長方形のボックスをふたつ組み合わせた形状です。モノトーンのミニマルなデザインと豊富に取られた開口部、そして広々とした庭が印象的です。開放的なデザインで自然との距離を近く、生活に取り入れることができます。二階テラスの手すりもガラスなので、室内にいても視界を遮られること無く軽井沢の豊かな自然を楽しむことができます。また、そうすることで建物外観も自然に対して開かれた印象となっています。
一階に配されたのは広々としたLDKです。室内は大きな開口部から見える豊かな緑を主役にする、シンプルモダンなインテリアです。モノトーンで統一された清潔感のあるインテリアは外観との共通性を感じさせます。モノトーンといっても床はライトグレーに近い白、ソファはアイボリーに近い柔らかい白など、素材によって様々な白が使われているため、平面的なぺったりとした印象にならず柔らかく穏やかな室内空間となっています。差し色に利用できるクッションカバーは、賑やかにしたい場合は赤やオレンジなどビビッドな色をおすすめしますが、ここではブラウン系統でまとめることでより落ち着きのある雰囲気となっています。
こちらはキッチン&ダイニングエリア。モノトーンのアイランドキッチンがクールでスタイリッシュな印象です。室内の壁と天井は白で統一されていますが、壁面収納の扉は敢えて黒にすることでアイランドキッチンと共に、オープンプランの室内をゾーニングすることに成功しています。また、外部環境の鮮やかな緑とのコントラストもドラマチックな演出効果を生み、別荘ではなく定住型の住宅ながら非日常感のあるモダンでスタイリッシュな室内となっています。
こちらは階段室、そして左手奥に見えるのがエントランスです。二階テラス同様、階段と二階廊下の手すりもガラス製で、たっぷりとした日光を室内の隅々まで届けます。各方向に取られた開口部から入ってくる光が、白い壁や床に反射してさらに空間全体に拡散していることが分かります。
バスルームももちろんモノトーンで作られています。シンプルモダンなデザインはまるでホテルのバスルームのような落ち着きと高級感があります。洗面スペースの上部に設置された照明は、光源を隠し光を天井に反射させるコーブ照明で、空間をリッチなムードに演出します。浴室にも大きな開口部が設置され、入浴しながら美しい景観を楽しむことができる癒しのバスルームです。