和傘の家

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本日は佐賀県佐賀市に建てられたこちらの平屋建て住宅を紹介したい。”田村の小さな設計事務所”(福岡市)の三角健晃氏によって設計されたこの住宅は「和傘の家」と名付けられている。それは一体どういうことだろうか?

名前の由来

外観は趣のある焼き杉のノンブラシ仕上げと、耐久性に優れたガルバリウム鋼板を使用した落ち着きのある佇まいだ。何より大きな一枚屋根が印象的である。実はこの屋根を支えている登り梁こそが、この住宅の名前の由来なのである。

梁と和傘の関係

トップから外部の深い軒先(1800mm)まで伸びた梁は室内で、また心地良く長く伸びた縁側で、力強くしなやかに屋根を支える姿を見せてくれる。規則正しく並んだそれは伝統的な和傘の骨組みのようではないだろうか。そしてその下に佇む我々にまるでひとつの大きな傘の下に集っているかのような印象を抱かせるのだ。

梁が生み出すリズム

内装はウォールナットの無垢床材、壁面には味わいのある仕上がりになる珪藻土クロスを使用。太い梁が通った天井は室内にリズムを生み出し、落ち着いた外観とは反対にカラフルに塗られたドアが並ぶ様はとても楽しい。

焼き杉の魅力

同じ「黒色」でも無機質な鋼板と有機的な焼き杉という対照的な素材の組み合わせが玄関に豊かな表情を生み出す。焼き杉は杉板の表面を一度炭化させることで耐火性能と腐食からの耐久性を高めた伝統的な外壁材であり、三十年ほど前から2x4などの新しい建築様式が日本で流行したことにより生産量は減少してしまったのだが、今日またその魅力や価値を見直されつつある建材である。バーナーで表面のみを焼いたものではなく、伝統的な手法で焼かれたものは炭化層が2センチほどになり約六十年はもつといわれており、エコや地産地消の観点から見ても優秀である。

内装に地元の伝統品を

一段上がった茶室のような雰囲気の和室には地元佐賀の伝統工芸品である名尾和紙を採用した。元禄時代から伝わるという長い歴史を持ったこの手漉き和紙は、耕地の少ない山間部の農家の副業として発達した。そんなところも手作りで一本ずつ作られ続けてきた和傘との調和を感じさせる。

「傘かしげ」所作と思いやり

外観デザインは、江戸仕草にも代表される「傘かしげ」からきているそうだ。「傘かしげ」とは雨の降る日の路上にて、すれ違いざまにお互いの傘を外側に傾け、申し合わせたかのようにぶつからずすれ違う所作のことを言う。この住宅が建てられた敷地は2項道路に面しており、建築基準法上セットバック(※道路の中心線から2メートル建物を後退させなければならないこと)が必要だったそうだ。それによりこの住宅の奥に位置する近隣住民がよりストレス無くアプローチすることができるよう配慮したという。「傘かしげ」のように、お互いを思いやる仕草が滲み出るような趣のある風景を、建築家と住民とこの「和傘の家」は望んでいるのだ。

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