建物の立地の問題を魅力へと変えた家「花屋敷の家」

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花屋敷の家, ENDO SHOJIRO DESIGN ENDO SHOJIRO DESIGN モダンな 家
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今回紹介するのは兵庫県宝塚市にある住宅街に建てられた印象的な家です。それは木造2階建てで箱のような形をした建物。通りからは外壁となる白い壁しか見えず、他にはない特別な建物に見えるでしょう。このような家を建てたのは建築家、遠藤正二郎と多田正治。建てられた住宅は、その立地を考えて、問題点が魅力となるような素晴らしい家を実現させました。

箱のような外観

「花屋敷の家」と名付けられた本住宅が建つのは高台にある住宅地の一角。周辺に多くの家が建ち並んでいます。そんな場所で、この家は一際人目を引きつけるでしょう。なぜなら建物には窓がほとんど見られず、見えるのは真っ白な壁だけだからです。もちろん中の様子を窺うことができないため、その外観も相まって建物はとても特別なものに感じられるでしょう。

暖かな自然の光あふれる屋内空間

窓が少なく中の様子が窺えない建物を思い浮かべると、暗い空間を想像するかもしれません。ですが本住宅は光に満ち溢れています。建物にあるのは坪庭や小さな切込み。坪庭は壁に囲まれた庭ですが、そこは屋根が無いため太陽の光が射し込みます。そして光は坪庭だけでなく、それに面した室内にも届くことになります。一方、建物の端にある切込みが生み出すのは、外光の取り込み。このように窓が少ないにも関わらず、建物には暖かな自然の光を感じられるようになっているのです。

外との繋がりを生み出すウッドデッキ

外部からは窓やベランダが見えないため、外の繋がりが弱い内に籠った建物に見えるかもしれません。ですが実際はそうではないのです。建物2階に設けられたのは壁に囲まれたウッドデッキ。そこでは上から差し込む光を楽しむことができます。もちろん、そこで感じられるのは光ばかりではありません。建物へと吹き込む風、そして雨や雪などのように屋外の環境を家の中にいながらも感じることができます。ここで内に籠ることのない外部との繋がりを持つ空間を感じることができるのです。

プライバシーが保ちにくい立地を考えた建物

そもそも、このような家が建てられた理由はその立地にあります。住宅地には多くの家が建っていますが、互いに十分な距離が取れておらず、通りと家の距離も近いため、簡単に内部の様子が覗けてしまいます。落ち着いた生活を送るには十分なプライバシーが保てないかもしれません。そこで考えられたのは、外からの視線を遮るため本住宅は窓を少なくすること。ここではプライバシーに保つ際に犠牲となってしまう開放感や外との繋がりを、坪庭やウッドデッキなどで得られるようにしているのです。

建物の立地にあった問題を建物の魅力へと変える

「花屋敷の家」が実現しているのは、プライバシーを保つことと開放感を感じることの両立。ですが、それは同時に他の家には無いような、シンプルで人目を引く外観を獲得しているのです。そして同時に優しく暖かな光を体験できる空間も生み出しているのです。このように、ここでは建物の立地にあった問題を建物の魅力へと変えることに成功したのです。

●設計監理:多田正治 + 遠藤正二郎

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