今回ご紹介するのはスリットグラデーションのファサードが印象的な二世帯住宅。スリットのあるダブルスキンの外壁がプライバシー確保や西日対策をしつつ、個性的な外観を生み出しています。さらに天窓から美しい空を眺めることができるアトリウムが二世帯をつなぐ空間として配されました。
日没後にはファサードのスリットから室内の光が溢れだし、日中とはまた趣を異にする印象的な外観となります。この美しい外観を作り出す光の流れも考慮して内部の照明計画が成されています。
こちらの住まいのもう一つの特徴が住宅の中心に配されたアトリウムです。このアトリウム内に上下の世帯を繋ぐ外階段が位置します。アトリウムとは、ガラスやアクリルパネルなど光を通す材質の屋根で覆われた空間のこと。こちらの住まいでも上部に樹氷の様な天窓があり、一年を通して空を仰ぐことができる開放的な空間となっています。ここは外部空間ではありますが、各階の窓を通してお互いの住戸が見えるため、プライバシーを保ちながらも家族同士がお互いの気配を感じあうことができるスペースとなっています。
クライアント夫婦の居住空間である2階部分は全体的に白でまとめられ、シンプルでモダンな印象を与えます。こちらはLDKの様子です。屋根勾配を生かした高い天井と、オープンな一室空間で、明るく開放的なLDKとなっています。
開口が多く、十分な通風、採光が確保されています。閉ざされた印象の外観とは対照的な明るくのびのびとした空間です。また間接照明が灯ると白い天井、壁に反射した柔らかな光が空間全体を包み込み、温かみのあるリラックスした雰囲気の空間となります。
クライアント両親の居住空間のある1階部分は「木の空間」として落ち着いた和モダンの雰囲気でまとめられています。キッチン横にある床の間にはクライアントのアイディアだという、形の変化する「月」があしらわれています。ぬくもりの感じられる木の質感と、淡いグリーンの色合いが安らぎの空間を演出します。